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2017.07.24 08:00

ユーザー接客で目指す、「ウェブの歴史に名を刻む」インパクト

左から、フェムトグロースキャピタルの磯崎哲也、プレイドの倉橋健太CEOと柴山直樹CTO

倉橋健太と柴山直樹が2011年に創業したプレイドは、あらゆるサイトへの訪問者をリアルタイムに可視化し、会員登録や購買につなげるウェブ接客プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を提供。KARTEを導入したサイト運営者は、訪問者一人ひとりの名前、性別、年齢、閲覧履歴などのステータスに合わせて、データに基づいた適切な接客を個々の訪問者それぞれに対して自動的に行うとができる。
 
磯崎哲也がゼネラルパートナーを務めるフェムトグロースキャピタルは、14年7月に投資を実行した。


磯崎:2人と初めて会ったのは14年春です。倉橋さんは楽天勤務時代の楽天市場での経験を、柴山さんは東京大学大学院で行っていた機械学習の研究を生かした事業内容であり、組み合わせが非常に良いと感じたのが第一印象です。

インターネットが商業化されて以降、“集客するため”の技術は、グーグルの広告などで花開いてきました。ただ、サイトへの“訪問後”の技術は発達していない。KARTEの構想を聞いた時、サイト訪問者に最適な体験を提供する接客の世界は、サイト訪問前の世界と同様、膨大な広がりがあると思ったのです。最初の資金調達ラウンドで1億5000万円を投資したのも、「日本発グーグル」になるという期待を抱き、経営陣は開発や営業に集中してほしいと考えたためです。

倉橋:社員数は50名ほどですが、採用や働く環境についての妥協は一切ありません。エンジニアが多く、開発スピードはものすごく速いです。日本のベンチャーファイナンスの第一人者である磯崎さんが、自分たちのチームにいるのはすごく心強いですし、壮大な目標について共通の目線を持っていただいた。ある種の覚悟があり、大きな夢を一緒に目指していると感じています。

磯崎:フェムトグロースキャピタルは、起業家との“コミュニケーションを密にしたハンズオン”が大事だと考えています。その点、「プレイドは手がかからないねえ」と、他の投資家とも話しています。ベンチャー企業はトラブルが続くものですが、プレイドは勝手にすくすく育ってくれるので、キャピタリストとしては、ちょっとつまらないですね(笑)。

倉橋:成長要因のひとつは、ウェブ接客市場が日本国内だけでも非常に大きいこと。接客はECだけと思われがちですが、金融・不動産・人材など、BtoBを含めた全業界で使われています。こうした横展開ができているのは、KARTEの導入や運用が手軽で、サイト運営者がペルソナ(主要な利用者の人物像)ではないリアルなお客様を把握できることに普遍的価値があるからです。
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文=土橋克寿 写真=平岩享

この記事は 「Forbes JAPAN No.36 2017年7月号(2017/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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