アップル流「自動運転」は利益優先 車内コンテンツに注力か 

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アップルがカリフォルニア州で自動運転車の公道テストに乗り出すことを受け、同社による自動車開発への期待が高まっている。しかし、専門家は「アップルが開発を目指しているのは車本体ではなく、自動運転車に対応したアプリやサービスだ」と指摘する。

アップルが車両管理局(DMV)から取得した許可には、3台のレクサスRX540h SUVと6人のドライバーが登録されている。アップルは、2015年に自動運転車プロジェクト「タイタン」向けに数百人のエンジニアを雇用したが、昨年その多くを解雇した。同社は、これまでプロジェクトの進捗状況を一切公表しておらず、フォーブスによるメールでの質問にも回答していない。

自動運転技術の開発競争において、カリフォルニア州だけで30社が公道テストの認可を受けている。これらの企業に比べ、今回アップルが登録した車両の台数は極めて少ない。このため、業界関係者らは、アップルの目的が自動車の開発ではなく、iPhoneを車載テレマティクスと連動させる「CarPlay」を自動運転車向けに機能強化することだと見ている。

「CarPlayは既に大きなシェアを持っており、アップルがCarPlayを自動運転車に対応させようとするのは当然の動きだ」とカリフォルニア州の自動車コンサルタント会社CarLabのEric Noble社長は話す。

アルファベット傘下で自動運転車の開発を手掛けるWaymoは、カリフォルニア州で79台、全米では約100台の車両を使って公道テストを実施している。GMの子会社であるCruise Automationは、カリフォルニア州で27台、ミシガン州ではそれ以上の台数を投入している。また、DMVのデータによると、テスラはカリフォルニア州でのテスト用に24台を登録している。

「車両本体ではなく、自動運転に関わるハードの開発だけだとしても、Waymoと同規模のテストが必要だ。3台の車両と6人のドライバーでは、センサーのテストもできない」とNobleは指摘する。

Waymoは、独自開発した自動運転車用ハードとソフトを搭載したクライスラーのミニバン100台を公道テストに追加する予定で、現在はホンダと自動運転システムの供給について交渉を行っている。アルファベットは、他社に先駆けて7年前に自動運転車プロジェクトをスタートさせ、現段階では技術的に最も進んでいるとされている。

GM傘下のCruise Automationは、スタッフを1100人増員する計画で、来年にはライドシェア事業に数千台規模の自動運転車を投入することが予想されている。

ジョブズが存命ならクルマも作った?

スティーブ・ジョブズが存命であれば、アップルはアップルカーの開発を志したかもしれないが、自動車業界は低マージンで規制が厳しく、トヨタですら当期純利益率は7%に満たない。これに対し、アップルの昨年の当期純利益率は約23%だった。
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編集=上田裕資

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