90年代に流行の「ロゴ」が復活、隠されたブランド各社の狙い

バーバリーのロゴを身につけた人気モデルのベラ・ハディッド (Photo by Alo Ceballos/GC Images)

90年代にファッション界を席巻した“ロゴ”ブームが戻ってきた。それも、業界全体を巻き込む勢いで──。

人気モデルのベラ・ハディッドは、バーバリーのロゴだとはっきり分かるセーターを着ている姿を目撃され、その姉で同じくモデルのジジ・ハディッドは、(ブランドアンバサダーを務める)トミー・ヒルフィガーのプルオーバーで人ごみを歩く様子が捉えられた。

アカデミー賞を受賞した俳優のジャレッド・レトもまた、背中にブランド名が入ったグッチのデニムジャケットを着た姿を写真に撮られている(レトもグッチの広告ビジュアルの顔だ)。

著名人がこうしたハイブランドの商品を身に着けることで報酬を得ること、あるいは少なくともその商品を無料で受け取ることは、何も新しいことではない。だが、裕福な著名人たちはさらに、こうしたブランドをあからさまに宣伝することになる行動を取ることに、抵抗感がないようだ。

広告に出演するほか、デザイナーたちと親しげに抱き合う姿をスナップチャットやインスタグラムに投稿。街中ではそのデザイナーたちの服を着てそれを誇示するように歩き、パパラッチにポーズを取ってみせる。ブランド側が著名人に対し、「ゲームを続けたければ支払え」という態度を取るこの手方は、ファッション業界のマーケティングにおける主流となっている。

だが、一般的な消費者は、こうした実情を理解しているだろうか? どうやらそうではなさそうだ。トミー・ヒルフィガーとジジのコラボコレクションは数日で完売。グッチは増益を記録している。そして、バーバリーは現在も、ファッション界で最も有名なブランドの一つだ。

高級品業界は市場が飽和状態にある中で、いかに注目を集めるかを巡って各社が競争を繰り広げている。大手小売業者を通じての販売やファッション誌への掲載という従来型のモデルは、以前ほど有効ではなくなっている。現在では、ブランドのビジョンを世間に広く訴えるための最善の方法は、ソーシャルメディアだ。だからこそ多くのブランドが、(フォロワー数が非常に多く)他の消費者の購買行動に大きな影響を与えるインフルエンサーを雇うのだ。

こう考えてみると、ロゴ人気の復活も不思議ではない話だ。ロゴを見れば、どのブランドの服かすぐに分かる。どの店に行けばその商品が手に入るのか、迷うこともない。

編集=木内涼子

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