投資熱が高まる希少ウイスキー、昨年の最高落札額は「山崎」870万円

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高級ウイスキーはこのところ、単に飲むためやコレクションの対象として購入されるだけではなくなってきている。多額の利益をもたらす投資の対象になっているのだ。

英国の競売会社やオークション・サイトでは、希少価値があり、収集品でもあるウイスキーの取り扱い点数が増加している。ウイスキーの仲買業者であり、専門のアナリスト、投資家でもある「レア・ウイスキー101(Rare Whiskey 101)」の報告書によると、2016年に競売にかけられた希少なスコッチウイスキーは、出品数、落札額ともに過去最多を記録した。

英国内で昨年行われた競売でのシングルモルトのスコッチウイスキーの落札総額は、前年の956万ポンド(約13億2100万円)より49%多い1421万ポンドだった。また、落札点数は前年の4万3458本から35%増えて5万8758本となった。

需要の多いスコッチウイスキーの値動きを示す指標、「レア・ウイスキー・エイペックス1000インデックス(Rare Whisky Apex 1000 Index)」によれば、これらのウイスキーの価格は昨年、38%上昇。値上がりが目立ったワインと金の価格(それぞれ25%、8%上昇)、好調だったFTSE 100種総合株価指数の上昇率(12%)も上回った。

ウイスキーの値上げにつながった要因としては、いくつかの点が挙げられる。英ポンド安は、他国の落札希望者にとっては有利な買い物が可能であることを意味した。また、低金利や「情熱投資」に関心を持つ人の増加が、ウイスキーに対する需要を増加させた。ウイスキーはこれらの要因によって、多くの人にとって「投資ポートフォリオに入れるべきもの」となったのだ。

最高を記録も楽観は禁物

2016年に英国で落札されたウイスキーのうち、最高値を付けたのはサントリーのシングルモルトウイスキー、50年物の「山崎」だった。落札額は6万2600ポンド(約870万円)。

一方、出品数が最も多かったのは、英スコットランドの老舗スコッチウイスキー・ブランド、マッカランだった。競売にかけられたウイスキーの点数の10%を占め(2015年は9.5%)、落札額では22%を占めた(2015年は23%)。

2015年に競売にかけられたウイスキーの平均落札価格は221ポンドだったが、2016年には同288ポンドに上昇した。また、出品されるウイスキーの銘柄も増加しており、1000ポンド以上で落札されたウイスキーのブランドの数は2015年には63だったものの、2016年には75に増えた。

ただし、こうした競売市場での人気が続くことばかりに期待してはならない。レア・ウイスキー101は、2017年は価格上昇が続くと予測する一方、同時に伸び率の鈍化を見込んでいる。中には手頃な価格まで値を下げるブランドもあるとの見方だ。

また、当然ながら、競売にかけることができる銘柄は限られていることも忘れてはならない。ウイスキーの大半は、購入者によって消費されるものだ。この点がウイスキーの今後にどのような意味を持つかは、ほぼ予測不可能だ。

それでも、希少なウイスキーへの投資熱が高まっている今、値下がりが予想される銘柄の数はごくわずかにとどまると見られる。市場は拡大しており、利益を得る機会も増加している。

編集 = 木内涼子

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