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2017.03.03

アマゾンの企業向け会議システム「Chime」の巨大なポテンシャル

Eric Broder Van Dyke / shutterstock.com

アマゾンは2月中旬、企業ユーザー向けのビデオ会議システム「Chime」を立ち上げた。このサービスは同社のクラウドサービスAWSをベースとして始まった。

Chimeで企業ユーザーらはVoIP通話やビデオメッセージの送信、リモートミーティングの開催が行える。このサービスでアマゾンはグーグルのハングアウトや、スカイプ等と競合し、GoToMeetingやシスコらとも対決することになる。

この領域では類似サービスの参入が相次いでいるが、アマゾンは既存のサービスに満足しない顧客がまだまだ居ると見込んでおり、音声や動画品質の向上、使いやすさやコスト的メリットを訴求しようとしている。

企業ユーザーに定評のあるAWSをベースに、信頼性が高く利用しやすいビデオ会議システムを提供することで、長期的に利益率の高いサービスを構築できるかもしれない。

AWSはアマゾンの事業で最も利益率が高い部門だ。Trefis.comの試算では2017年に約165億ドル(約1.9兆円)のAWSの売上は、2023年に700億ドル近くに達すると見込まれる。ウェブサービス需要が飛躍的成長を遂げる中で、アマゾンは信頼性やブランド認知度、グローバルへのリーチを武器に成長を続けていく。

グーグルやマイクロソフトとの競争も激化するが、Trefis.comはアマゾンがこの分野で主導的ポジションを維持すると見ており、AWSのEBITDA利益率は2017年の32%から、2023年には35%に達すると予測する。

マイクロソフトやグーグルとの戦いが激化する中で、より安く信頼性が高いビデオ会議システムを提供できる陣営が勝利を収めることになる。アマゾンのChimeはアンドロイドやiOS、マックやウインドウズといったプラットフォームをまたいで利用可能で、会議の途中でデバイスを切り替えることも可能だ。

競争が激化する中で、先進的機能を安価に提供できるプレイヤーにチャンスが広がっている。アマゾンはこの分野の隙間を突く形で市場に参入し、同社のAWS部門の利益率を長期的視野でさらに高めていこうとしている。

編集=上田裕資

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