1千億円を使い果たしたウェアラブル「Jawbone」 医療向けシフトか 

Credit: Jawbone

ウェアラブル端末メーカーのJawboneにとって、この2年間は試練の連続だった。同社はかつて、スピーカーやbluetoothヘッドセットを製造していたが、デザイナーにイヴ・ベアールを採用したフィットネストラッカーを開発してウェアラブル市場に参入した。そして今、同社は再び事業転換の必要に迫られている。

Jawboneは、これまで投資家から調達した約10億ドル(約1,130億円)もの資金を使い果たしたとされる。IPOの可能性が薄まり、先月にはCFOが退職した。また、同社のカスタマーサポートにはユーザーから非難が殺到している。こうした中、テッククランチは、Jawboneが消費者向けウェアラブル端末から撤退し、医療用デバイスに事業転換を図ると報じている。テッククランチによると、Jawboneは追加の資金調達を進めており、交渉はクロージング間近だという。

消費者向けウェアラブル事業はコスト競争が厳しく、Jawboneはこれまで利益の確保に苦戦してきた。同社の最上位モデル「UP4」がリリースされたのは2015年4月のことで、アマゾンでの販売価格は、リリース当初の200ドルから50ドルまで下がっている。ユーザーからは、製品の不具合や顧客サポートの質の悪さに関するクレームが殺到している。(筆者の「UP24」も購入から3ヶ月で故障し、交換品もすぐに壊れてしまった)

評価額は31億ドルから13億ドルまで下落

様々なトラブルを抱えながらも、CEOのHosain Rahmanは過去16年間で総額9億5,000万ドルの調達に成功している。投資家には、アンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタル、コースラベンチャーズなどシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタルが名を連ねる。しかし、Jawboneの評価額は2014年9月の31億ドルをピークに下落の一途をたどっている。Pitchbook によると、2016年1月にクウェート投資庁から1億6,500万ドルを調達した際の評価額は13億ドルだったという。

Jawboneの医療向け事業が、これまでのようにハードウェアを販売するのか、ソフトウェアのトラッキングのみを行うのかは不明だ。テッククランチによると、主な顧客は臨床医や医療機関になる予定だという。Jawboneがエンタープライズ向けサービスを展開するのは今回が初めてではない。2014年には、従業員の健康管理を行う「Up for Groups」を立ち上げ、導入企業にウェアラブル端末をバルク売りしている。
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編集=上田裕資

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