ビジネス

2016.08.18 09:00

インドの新星を危機から救った「社員第一主義」


「スナップディール2.0」への道

昨年にはテクノロジーとバックエンドを強化するために1,000人を超える技術者を迎え入れた。また、350人からなるマルチメディアの研究グループをバンガロールで発足させている。「スナップディールの目標は、1つのエコシステムをつくり上げることです。そのためにはすべてのテクノロジーを統合する必要があります。そして、商品を探すユーザーが真っ先に思い浮かべるような人気サイトにならなくてはいけません」と、同社の最高技術責任者(CTO)を務めるラジフ・マングラは話す。
 
テクノロジーと物流を強化することで、100万件あたりの誤配率は400件から10件に低下、平均配送時間も70%短縮した。バンサルは、「配送時間の短縮によって顧客満足度も大幅に向上した」と言う。サプライチェーンと物流への3億ドルの投資の成果
だ。

スナップディールの自信は、グルガオンに新設された約1万2,000坪のオフィスにも表れている。12年には、500人に満たなかった社員も今では7,000人を超える。

アリババがIPO(新規株式公開)を果たすまでに16年かかった。スナップディールは、事業拡大を図りながら、その半分の期間で上場を実現したいと望んでいる。

「今後3年から5年が勝負」とバールは言う。

「上場の前に収益の構成を明らかにして、株主に今後の収益見通しを示せるようにしたい」
 
今後の道のりは決して平坦なものではない。それでも、スナップディールには困難を引き受ける覚悟が十分にできているようだ。

文=シュタパ・パウル、翻訳=岡本富士子 / アシーマ

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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